メシアな彼女
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【十】夢喰い狩り
「さてと、じゃあ行って来るぜ。」
必要なものをすべてデイパックに入れたことを確認し、オレはカオルに声をかけた。
「行ってらっしゃい。頑張ってね、って言えばいいのかな?
カオル ―
カオルは実はフレイムキーパーたちもその正体を知らない「ヴィーシュ」と呼ばれる、人類がその精神世界をより高い次元に進化させる鍵を握っている存在。実はフレイムキーパーも夢喰いも人類が何万年もかけて高次の進化を遂げ、進化とともにその体(入れ物)を捨て、高次元世界へと移り住んだもの。夢喰いの地球人への攻撃が始まったと同時に人間の子供として生まれる。高校を中退したのは彼女の深層心理がその使命を自覚したがため。表層ではまだ自覚はない。ひとつには人類を過去、現在、未来へと永遠の時間の流れの中で見守り、より高次の存在へと導く指標として存在する。そしてもうひとつ、フレイムキーパーと夢喰いの対立を憂い、最終的にその対立を解消させ、より高次の存在へと進化させるために雪之丞に手を貸す。
フレイムキーパー ―
雪之丞をヒト型対夢喰い用端末(通称「狩人」)として再生した精神生命体。雪之丞は「マスター」と呼んでいる。敵対する「夢喰い」が奇病に取り付かれて以来、平和に過ごしていたのだが、その夢喰いが三次元世界から原始的精神エネルギーを大量に集めて精神進化を取り戻そうとしていることを知り、三次元世界に狩人を送り込み、夢喰いのエネルギー収集を防ぎ、対抗しようとしている。この精神生命体は異次元の存在であり、地球上の三次元空間では実態として存在できない。
夢喰い ―
フレイムキーパーと同じ次元で存在する精神生命体。フレイムキーパーに対する敵対的な存在。しかしながら精神的な進化の停滞をもたらす原因不明の奇病に取り付かれているため、現時点ではフレイムキーパーへの敵対行為どころの騒ぎではない状況にある。地球人の夢を精神エネルギーとして吸収し、その(彼らからすると原始的な)パワーによって、精神進化を取り戻そうとしている。アキバに出没するのは、オタクと呼ばれる人間たちの持つ夢(むしろ妄想)のパワーがたいへん高エネルギーであるため。狭義での夢喰いと呼ばれる三次元端末は、狩人にそのヒト型存在エネルギーを解消させられると、三次元での存在データが記録された卵大のエネルギー体に変化する。
雪之丞 ―
下北沢のアパートに住み、IT企業に勤める冴えないオタク独身男。高校三年生の時に両親とともに交通事故で死亡したのだが、フレイムキーパーに再生され、その後、外見を地球上の時間に合わせて成長させながら、狩人として働いてきた。フレイムキーパーの三次元端末に過ぎないのだが、ほぼ人間と変わらない機能を持つ。また、フレイムキーパーも意図していなかったのだが、カオルがヴィーシュとして覚醒する鍵としての存在にもなる。コードネームJPN001YM
吉田君(吉田大輔)
彩子さん(平山彩子)
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